
タイトル:透明になった鳥と神様の生活
素材:映像、プログラム、信号機(FRP)など
制作年:2021年
出演:リー正敏
怒ったゼウスがプロメテウスに罰を与えるという神話があります。この話では、プロメテウスが人間に火を与えたことで怒られるのですが、そのため毎日大鷲に内臓を食べられ続けるという罰を受けています。これはプロメテウスが罰を受けるという話なのですが、角度を変えて見てみるとプロメテウスだけでなく大鷲も毎日ひたすら食べなくてはいけないのだから罰を受けているように見えます。この神話は、私たち一人ひとりの可視化できない生活や仕事の比喩のように受け取ることもできるのです。
作品内の映像は、信号機とともに生活している一人のサラリーマンの生活が上映されています。プログラムによってランダムに映像が抽選され、いくつかの再生パターンに枝分かれしていくため、微妙に毎回違う映像が流れる仕組みを採用しています。この映像の構造によって、少しずつ違うけれど、だいたい同じ日々を送る人間(神様)と、映像には映っていないがそこに存在しているはずの鳥の話として、先に触れたプロメテウスの神話を元に制作しています。