
タイトル:富を呼ぶ儀式とかすむ幽霊
素材:ESP32, raspberrypi, ELワイヤー, スピーカー, ウェブサーバー, 株価API, など
制作年:2026年
概要
インドネシアで滞在していた村には放し飼いの鶏が多くおり、霊を信じる人々が住んでいた。しかし、この鶏も、都市が発展するにつれていなくなるのだろう。多くの発展した都市では、霊的な存在を信じる人はほとんどいない。昔はいたはずの幽霊のような存在は、経済活動を中心とした世界では消失してしまうようだ。経済中心の世界から、人間の動物性を取り戻すには、霊や鶏のような存在が重要なのではないかと考えた。
放し飼いの鶏や、霊的な存在と、株価等のグローバルな金融システムは、通常は交わらない。これはそのまま、失われつつある共同体性と資本主義との間の交わらなさと重なる。しかし、どちらも見えないが信じられているという点では構造は似ており、この点において、霊と資本を同じカテゴリに引きずり出そうと試みた。また、「鶏が夜に鳴くと霊がいるかもしれない」という民間信仰を、テクノロジーを使って数値化することで、共同体的な感覚を再編成し今の世界に霊を復活させる試みでもある。
タイトルの「富を呼ぶ儀式」は、Prewanganというアートコレクティブの《Pesugihan Dhedhet Kemukus》という作品群からとってきた。金銭欲望を呪術と結び付けたこの作品は、僕の鶏への視点と共通する点があるように思ったからだ。
このプロジェクトで制作されたものはいくつものパートに分かれているが、重要なパートが2つある。鶏の鳴き声をキャッチし、鳴き声の音源、時刻、温湿度、などをサーバーにアップロードする部分。もう一つは、株価を取得しサーバーにアップロードする部分だ。この2つがトリガーになっており、ライトが光ったり、スピーカーから音を出したりする。これらのデータは、サーバーに保存されているため、離れたデバイスの電源等をコントロールすることができる仕組みになっている。
この仕組みを使い、どこか遠くで鶏が鳴いたことを報せる装置、株価と鶏が鳴いたことを関連させるグラフ、鶏の鳴く時間帯と霊の発生を連想させるようなウェブサイト、アザーンを流すスピーカーを模したデザインを取り入れたタワーをつくり、株価取得で鶏の声がスピーカーから村の中で流れる装置、鶏が鳴いたら遠くのデバイスの文字が光る装置などを制作した。








