基町河川敷陶芸クラブ

タイトル:基町河川敷陶芸クラブ
素材:映像、陶器、など
制作年:2021年

広島は原爆の後、いろいろな場所にバラックが立ち並んだのだが、最後までその名残を残していた地域が舞台となっている「基町」で行ったプロジェクトだ。僕は2021年「基いの町」展に向けて 約1か月基町で滞在をした。この作品はその時のものだ。この作品は「作品」というよりも、「提案」として見せる形をとっている。この手法は、壱岐で制作した「三味線通り」という作品と同じ形をとっている。

基町滞在中は、ほぼ毎日陶土を持ち歩き、声をかけれそうな住人に一緒に陶芸をやらないか声をかけ、土を触りながら話を聞いてみるというスタイルでリサーチを展開していった。このリサーチの過程は、note「受動的に自己を開く」で詳しく読むことができる。

参加した展覧会では、この「基町河川敷陶芸クラブ」と、その結果しあがった陶器、滞在中に書いたテキスト「受動的に自己を開く」の3点を出品した。

「基いの町」での展示の様子

【なぜ陶芸?】
1 陶芸には複数の工程があるため、時間を置いて何回も会う機会を設けられる
2 基町の河原ではBBQが頻繁に行われており、焼き物をしていても不自然に見えない
3 土粘土は親しみやすい素材であり、七輪を使った焼き方で、比較的簡単に器をつくれる

また、原爆焼やヒロシマイトに見られるような、土地そのものを素材とする陶器や鉱物には、広島を身体を通して知覚可能にする素材ではないかと考えた。そのような素材を媒介とし通常起こりえないコミュニケーションを図ろうとしていることは、一見しただけだと歪な関係をつくっているだけに映るかもしれない。これは、自己を主体的に開放してコミュニケーションを図る通常の仕方ではなく、違う方法を探したいという近年一貫している試みでもある。