
タイトル:Gate: キッチンと外を繋ぐ
素材:インクジェットプリント
サイズ:1000mm×1500mm
制作年:2024年
写真作品内には、家について考察したテキストが書かれている。数十枚の写真を合成して高解像度にしているため、鑑賞者は写真に近づいて読みことできる。
写真内に書かれている文章
世界の始まりに、秩序は存在しない。今の世界に秩序があるなら、私たちがそうなるように仕向けてきたからだ。だから、今の世界を、あなたがどう捉えるかが問題なのだと、先輩に言われた。物事が複雑な場合、整理整頓し単純にしようと心掛けるものだ。ゴミ箱のように散らかった頭の中を整理しなければならない。あるいは、ゴミ箱をひっくり返したように散らかった物事の起こりを、順番に並べ直すのも良いかもしれない。(本来、ゴミ箱の中を整理する必要はないが。)
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だから、世界の最初の始まりから考えてみることは、物事の順番から整理する上で自然ではある。それで、「私とあなた」のような2つの関係が発生した時点を、世界の始まりだと考えてみようとしたが、すぐに別の問題が現れた。「私」が何なのか、答えることができそうになかったからだ。世界を捉えるために、世界と向き合おうとしたが、まずは、「私」である自分と向き合う必要があるのかもしれないと思った。でないと、始まりについてさえ考えることができないかもしれないからだ。(ゴミ箱の整理もできそうにない。)それに、そうだとすれば、私と世界とは関係しているのかもしれない。
では、自分と向き合うとは、具体的には何だろうか。最も簡単だと思われるのは、自分の指などを嚙み続けるなど、身体の一部を痛めつけることかもしれない。または、自分の身体を鍛えることだ。ボディビルの選手は、身体に何を取り入れるか気を付けていて、どの栄養素が足りていないか、科学的に実践している。あるいは自分の身体能力の衰えに気がつく時かもしれない。身体を中心にして、自分と向き合うのが人間だろう。
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東京の狭いアパートに二人で暮らしていたことがある。布団を敷くと、足の踏み場もないほど物が溢れていた。この家でキッチンドランカーになった。家の中で、台所だけが自由にできる場所だったからだ。ガスコンロの前に椅子を置き、常に台所にいた。台所は、身体の秩序を整えるための食事をつくる場所だ。家族や自分の身体のことに気を付け食事を準備するのだから、これは自分と向き合う場所でもあると言える。台所は、私を私と向き合わせると共に、世界の始まりについて考えさせることを可能にする場所かもしれない。台所が、私の家で世界に最も近い場所になった。




