友達に会う

そろそろ福岡を発つため、アパートの引っ越しを進めている。

部屋にはほとんど荷物がなくなっていることや、「今度飲もう」と言われていた人と話しておきたいと思っていたこともあり、平日なのに家飲みをしてみようと急遽思ってしまった。その日のお昼くらいから何人かに声をかけたが、突然だったということや、雨だったこと、そんなにお前と飲みたくないわということ、そもそも皆仕事してるなど、いろいろな理由で今のところ結局一人で飲んでいる最中である。

先ほど連絡を入れた一人から電話があり、「何飲みなん?」と聞かれた。よく考えてみれば、理由もなく平日に飲み会をするということは、なかなかないことである。こういう誘い方は大学生ぶりであることに思いあたった。何かの理由があって人は人と出会うのであって、ただ出会うということは大人になればなかなかない。出会う理由が、出会う為には必要なのだ。もし、理由なく出会うとしても、それにも理由が隠されているだろう。僕は今日、どんな理由で家飲みしようと誘ったのだろうか。引っ越しをする前に、ただ会いたかったと言えなくもない。しかし、会いたいから会うというようなことは普通ないのであって、多くの人達は忙しい毎日を、仕事と家族サービスで埋めている。会うということには特別な理由があるはずなのだ。

「何飲みなんって言われても、特になんもないよ。部屋が片付いたからさ。なんとなく。」と言ったら、「寂しいんやろ。仕事終わったら行けるけど、何時までやりよると?」と返ってきた。それを聞いてハッとなった。今日の夜は暇だから誰かと飲もうかなと気軽に声をかけただけだったが、「寂しいんやろ」という言葉で、自分は寂しがっていたから人と出会おうとしていたのかと、自分を暴かれたような気がして恥ずかしい気持ちになった。

ここまで書いたところで数名の訪問があり、近況などを語り合い、2時くらいまで話て、みんな帰っていった。 家飲みだとそのまま寝れるから楽だなあなどと呑気に寝床につく。

翌日の朝、「昨日って何かあったの? ふと気になって心配になったよ。」と誘っていた別の友人からメールが届いた。やはり理由もなく誘う人は、どこかおかしいと思われるようだ。